実習が終了。自主ラボ。3ヶ月ぶりに実験らしい実験。
月…AM 講義。PM 実習。片付け。実習テキストの課題について質問に答える。
夜 講義勉強。
火…AM 見積依頼。実習準備。PM 実習最終日、洗い物をしてもらう。自主
ラボ。夜 講義勉強。テキストの課題を勉強しに来た学生に付き合う。
水…AM 雑務。講義準備、講義。PM 会議。分属メンバーが正式に決定する。
いろいろと放置していたことの後始末。~夜 また学生の質問にいちいち答え
る。教科書、参考書を指示しないと駄目なようだ。
木…AM 自主ラボの準備。PM 自主ラボ。3回生の実習でスクリーニングされた菌
を整理してもらう。ずいぶんと盛況。
見た目は同じような白い菌なのに、手前は黄色、向こうは茶色い色素を出す。
さしあたり週一で実験することに。時間のある人はもっと来てもらってもいい
ですけど。
来月の2回生配当の微生物学実習のテキストを用意し始める。別件で、微生物学
実習がなぜああでなくてはならなかったか、ということを説明。
…今回のカリキュラムはこれとは全く違うもので、おそらく医学系の細菌学実習などに近い。それは、ドイツ・フランスで130年前に始まった一般微生物学の伝統に連なるもので…
…「微生物学」が極めて皮相なところでしか捉えられていないのではないか。今回の実習でやった「一般微生物学」と十分につながって理解されていないのではないか、というのがyshinodaの批判です。そういう実習を立ち上げたかったし、そのためには…
相変わらず。 夜 講義勉強。
金…AM~PM 3ヶ月ぶりに少し実験。シーケンスを外注。テキスト改訂。夜
講義勉強。
土…AM 系列の中高校生を招いて行われた「エコ・フェスタ」の準備とあと片付け
を少しだけ手伝う。PM~夜 講義勉強。
日…AM 掃除。論文検索。自主ラボのフォロー。PM 講義勉強。菌株整理。
夜 書類整理
実習が終わり、いろいろと積み残しの仕事を開始。この勢いを維持すべきだろう。
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ふと思い出して検索すると、東京ではこんな催しをしていますね。
菌類のふしぎ きのことカビと仲間たち
開催概要
2008年10月11日(土)~ 2009年1月12日(月・祝)
月曜休館(月曜が祝日の場合は開館し、翌日休館)
午前9時~午後5時、金曜日は午後8時まで
主催
国立科学博物館、
TBS
後援 文部科学省、TBSラジオ
協力
日本菌学会
フィーチャリング 「
もやしもん」石川雅之/講談社
「菌学会」のことはよく知らないのですが、あのマンガを使わない手はないでしょう。
blogも開設されていて、展示の舞台裏が分かって興味深い。
学問としての立ち位置が難しそうですが、日本の社会の中に科学を根付かせようとする、最近の動きのよい例では? 子ども向け企画な気もするけれど、「科博」には行ったことがないし、これを機会に冬休みに東京まで見に行くつもり。カビやきのこには詳しくないので、予習のために
解説本を発注。
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新着論文から
Reassessing the first appearance of eukaryotes and cyanobacteria
Birger Rasmussen et al.
Nature 455, 1101-1104 (23 October 2008)
これまで最古の酸素発生型光合成シアノバクテリアの存在の証拠とされてきた試料を再度分析し、それがもともとその古い年代の岩石に含まれていたものではなく、あとから岩石中に侵入したものであることを明らかに。この結果、地質学的に酸素濃度が上昇したとされる年代とのズレが解消。24.5-23.2億年前にシアノバクテリアが登場し、同時期に酸素濃度も上がったということらしい。
Characterization of a Bacillus anthracis spore coat-surface protein that influences coat-surface morphology
Michael Mallozzi et al.
FEMS Microbiology Letters
Volume 289 Issue 1, Pages 110 - 117 Published Online: 20 Oct 2008
炭疽菌胞子表面の特徴的なタンパク質Cotβの解析。表面の物性に影響するが、なくても発芽する。しかし、結局それで病原性が左右されるというものでもない。
Bacillusの発芽の様子を原子間力顕微鏡で追ったリアルな写真が先月号のNat Rev Microbiolに出ていた。このあいだアメリカでの炭疽菌テロの容疑者が特定されたのでタイムリー。
Molecular Architecture of the "Stressosome," a Signal Integration and Transduction Hub
Jon Marles-Wright et al.
Science 3 October 2008: Vol. 322. no. 5898, pp. 92 - 96
細胞に加えられる様々なストレスを統合して一つの応答を返す、ストレソソーム、という細胞内器官があるらしい。電子顕微鏡写真から構造を特定、働き方を推定。
Bacterial protection of beetle-fungus mutualism.
Scott JJ, Oh DC, Yuceer MC, Klepzig KD, Clardy J, Currie CR.
Science. 2008 Oct 3;322(5898):63.
"southern pine beetle"というのはキクイムシらしい。この虫と共生しているカビがpolyunsaturated peroxideを生産することで他のカビを殺し、虫を守っている。虫-微生物共生系が抗菌剤の新しいソースとなるかも、としている。
Interdependence of two NarK domains in a fused nitrate/nitrite transporter
Alan D. Goddard et al.
Molecular Microbiology Volume 70 Issue 3, Pages 667 - 681 Published Online: 23 Sep 2008
脱窒菌P. denitirificansの硝酸の取り込みに関わるNarKは2つのドメインからなり、相互作用しながら片方はプロトンとのシンポート、片方は亜硝酸とのアンチポートを行う。その作用機作。歴史ある分野にも、まだ調べられていないことがある。
Large-scale reconstruction and phylogenetic analysis of metabolic environments.
Borenstein E, Kupiec M, Feldman MW, Ruppin E.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2008 Sep 23;105(38):14482-7. Epub 2008 Sep 11.
代謝ネットワークから、外から与えられる化合物のセットである"seed set"を措定し、それぞれの種の生息環境を生化学的に表現。これを系統学的に並べてわかること。というような感じか?
Cell wall peptidoglycan architecture in Bacillus subtilis.
Hayhurst EJ, Kailas L, Hobbs JK, Foster SJ.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2008 Sep 23;105(38):14603-8. Epub 2008 Sep 10.
細胞壁ペプチドグリカンの構造を明らかに。グリカンの鎖は細胞より長く、細胞の短軸方向にペプチドグリカンのケーブルが並んでいる。
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また来週。