生物工学会誌に書かせていただいた原稿がアップされていました。
あまり目新しい内容ではないのですが、次世代シーケンサーってどういう原理なんだろ?と思って勉強がてら書き出したもの。なのに、結局その部分は字数が足りなくてボツに。一部かぶってますが、コピペしておきます。
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私が学生の頃には、RI実験室には大きな長いガラス板が何枚もあって、「昔はこれでDNAのシーケンスをしていたんだよ」と言われたものである。Dye-primer法の、碁石が積み重なったような黒い影を睨んで、「これは3つだろうか4つだろうか、それともやり直そうか??」と悩んでいたら、1レーンでATGCを同時に読めるようになって嬉しかったが、そのうちゲルをつくる必要がなくなったのには驚いた。そしてまもなく、自分でシーケンスすること自体なくなってしまった。
DNA塩基配列の解読方法は文字通り日進月歩であり、最近では「次世代」シーケンサーのさまざまな可能性が喧伝されている。これらの器械を使うと一回の解析で数十Mbの配列を読める、とあり、これでは数Mbの微生物ゲノムなど一発で決まってしまう。現にこれを使った解析サービスでは、「微生物ゲノム解析…350万円(納期1ヶ月)」という
価格例が掲載されており、これが半分、そのまた半分になるのは時間の問題であろう。もう何年もすれば、一研究室一(微生物)ゲノム、いや、一人一ゲノムの時代になるのかもしれない。
次世代シーケンサーは現在3つの会社の製品が市場に出ているが、それらがベースとしている技術は三者三様である。油に分散させた液滴中でそれぞれ異なるPCR反応を同時進行させる(エマルジョンPCR)ことによって一種類のDNA断片を一つのビーズに固定、増幅し、このビーズを一つずつ納めたウェルの中でポリメラーゼ反応が起こる際のピロリン酸の放出を蛍光検出する(ピロシーケンス)もの(
Roche) 、このビーズをスライドグラス上に固定してマイクロアレイを作成し、ポリメラーゼの代わりにリガーゼを使って(ライゲーション・ケミストリー)、蛍光標識したプローブを、一塩基ずつ短いプライマーに繰り返しつなげることで2塩基ずつ判読していく(2塩基エンコーディング)もの(
Applied Biosystems)、微細なフローセル中にランダムに固定した一本鎖DNAを基盤上で増幅してマイクロアレイをつくり(クローナル単分子アレイ)、蛍光標識したdNTP(可逆化ターミネーター)を一つずつポリメラーゼで伸ばしては検出するもの(
Illumina)と、まさに「ナノテク」と蛍光・光学技術の結晶で、もはや電気泳動のデの字も出てこない。
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このくらいの説明では、わかんないですね。
続きはこちらから…
環境浄化微生物のゲノミクス(pdfファイル)
注)内容は執筆時点(2008年2月)のものです。
こちらとか、より詳しいです。最初に参考にさせていただきました。