MicroReview
Pili with strong attachments: Gram-positive bacteria do it differently
June R. Scott and Dorothea Zähner
Molecular Microbiology Volume 62 Page 320
アブスト抄訳
バクテリアはアドヘジンによって、自分の生育に適当な場所にくっつく。これはだいたいpiliと呼ばれる髪の毛のような構造体の先端に付いている。最近グラム陽性細菌のpiliに注目が集まっているのは、これがグラム陽性病原菌のワクチンを作る際の標的になりうるからである。
グラム陽性細菌のpiliはグラム陰性のそれと違って、
サブユニットが共有結合しており
組み立てに特異的なシャペロンが要らず、
先端のタンパク質(アドヘジン)がpiliの構造が出来るのを開始するわけではない
グラム陽性細菌ではpiliの遺伝子はクラスターを成しており、トランスポゾン(転移性遺伝因子)になっていることもある。クラスターの中にはsortaseファミリーのペプチド転移酵素が含まれており、これはサブユニットの重合に必要である。
しかし、出来たpiliの(自分の)細胞壁への強力な結合は、(調べられている限りでは)細胞壁へのソーティングシグナルを持った、他のいろいろなタンパク質をペプチドグリカンにくっつけるのとおなじ通常のsortaseによってなされ、この遺伝子はまたゲノム上の別なところにある。
グラム陽性細菌のpiliはまだよく研究されていないので、この総説では今後研究が必要な点を明らかにすることを目的としている。
アトランタ Emory大学 医学部 微生物学・免疫学科
繊毛はただの毛。運動器官なのは鞭毛。遺伝子の伝達に関与する「性繊毛」と付着に関与する「フィムブリエ(fimbriae)」があって、ここで出てきているのは後者。